「税金払ってるんやから、市がなんとかしてくれへんの?」
害獣の被害に気づいた人の多くが、まずこう考えます。実はこれ、半分は正解です。
市区町村には、箱わなの無料貸出や補助金といった支援制度があります。ただし「家に来て駆除してくれる」わけではありません。
この記事では、市役所がやってくれること・やってくれないことを線引きして、実在する自治体の制度を実例つきで紹介します。

👉 費用の目安を先に知りたい方は害獣駆除の費用相場はいくら?もあわせてどうぞ。
市役所は駆除してくれない。でも「使える制度」はある

まず結論から。職員が家に来て害獣を駆除してくれる市区町村は、ほとんどありません。
それでも相談する価値があるのは、次のような支援があるからです。
✅ 市役所がやってくれること
- 箱わな(捕獲器)の貸出——無料の自治体が多い(捕獲の許可とセットで運用されます)
- 捕獲した個体の回収・処分——委託業者が引き取る例も
- 捕獲の許可申請の受付
- 補助金・報奨金の交付
- 業者の紹介・相談窓口
❌ 市役所がやってくれないこと
- 職員が来て駆除すること
- 屋根裏など建物内での作業
- 侵入口の封鎖工事
- フン尿の清掃・消毒
- 被害を受けた建物の修繕
👉 制度の対象になる動物かどうかは種類で変わります。見分け方は害獣とは?家に出る種類一覧と見分け方にまとめました。
実在する自治体制度の例【3自治体の実データ】

制度は市区町村ごとにまったく違います。「どんなものがあるのか」を掴むために、実際に公開されている制度を見てみましょう。
宇都宮市(栃木県)|箱わな貸出+3種類の補助金
👉 表は横にスクロールできます
※宇都宮市公式サイトで確認(2026年9月3日時点/ページの最終更新は令和7年6月3日)。
山形市(山形県)|業者に頼んだ費用が補助される例
- ✅ 「タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業」(担当=環境部 鳥獣被害対策課)
- ✅ 害獣駆除業者に依頼した費用の2分の1(上限15,000円)を補助/捕獲できなかった場合も対象
- ✅ 業者代金そのものが補助対象になる珍しい型
🚨 ただし、この制度は今は使えません
山形市の公式サイトには「令和8年度の補助金は上限に達しましたので、申請の受付を終了しました」と明記されています(2026年9月3日時点)。
これは自治体の補助金には予算の枠があり、年度の途中でも無くなるということです。制度を見つけたら、まだ受付をしているかを最初に確認してください。
箱根町(神奈川県)|対策用品の購入費を補助
- ✅ 「箱根町有害鳥獣被害防止柵購入費補助金」=電気柵・トタン板柵・網柵などの物品購入費が対象
- ✅ 町民=物品購入費の2分の1(上限20,000円)
- ✅ 自治会=3分の2(上限30,000円)/事業者=3分の1(上限20,000円)
- ✅ 申請期限=領収書が発行されてから6か月以内
※各制度の内容は2026年9月3日に各自治体の公式ページで確認したものです(各ページの最終更新=宇都宮市 令和7年6月/山形市 令和8年7月/箱根町 2023年4月)。申請条件・金額・受付状況は年度の途中でも変わるため、必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください。
制度は大きく4タイプに分かれる

全国の制度を眺めると、だいたいこの4つのどれかに当てはまります。自分の自治体がどれかを知ると、期待値がはっきりします。
A|箱わな貸出型
市が箱わなを無料で貸す。設置とエサやりは自分。捕獲後は市が回収する場合が多い。
※借りれば自由に仕掛けてよいのではなく、捕獲の許可とセットです
B|委託捕獲型
市の委託業者が来て設置から回収までやる(職員ではなく委託業者)。立ち会いが必要な場合も。
手厚いが対象が限られる
C|補助金型
わな・柵の購入費、まれに業者代金を補助。2分の1・上限1万〜5万円が目安。
先に申請が必要なことが多い
D|制度なし型
市は予防策の案内と業者紹介のみ。捕獲も補助もなし。
都市部に多い
報奨金(報償金)という制度もある
「有害鳥獣捕獲報奨金」(自治体によっては「報償金」)は、捕獲した個体1頭あたりいくらという形で支払われる制度です。呼び名は違っても中身はほぼ同じものです。
- ✅ 主に農作物被害の対策として設けられている
- ✅ 多くは狩猟免許を持つ人・有害鳥獣捕獲隊が対象
- ✅ 一般家庭が住宅被害で受け取れるケースは限定的
「報奨金がもらえる」という情報を見かけたら、まず自分が対象になるかを窓口で確認してください。
市役所に相談するときの手順

1 公式サイトで検索する
「(市名)+有害鳥獣」「(市名)+ハクビシン」で検索。制度があればページが出てきます。
2 担当課に電話する
課の名前は市によって違います。農政課・農林課・環境政策課・生活環境課あたりが多い。代表電話でも繋いでくれます。
3 この4つを聞く
①箱わなの貸出はあるか ②捕獲した個体は市が回収してくれるか ③補助金はあるか・申請は工事の前か後か ④屋内の被害はどこに相談すればいいか
4 並行して業者の見積もりを取る
制度で足りない部分(封鎖・清掃)は業者の領域。補助金は「工事前の申請」が条件のことが多いので、先に見積書があると話が早い。
🚨 よくある失敗
先に業者へ発注してしまい、あとから「事前申請が必要でした」と言われて補助を受けられない——これが一番多いパターンです。
順番は①市に確認 → ②見積もり → ③申請 → ④工事。急いでいても、事前に一度確認するだけで負担が数万円変わります。
制度で足りない部分は、見積もりを取って確かめる
ここまで見てきたとおり、市の制度は屋外の捕獲まで。屋根裏の追い出し、侵入口の封鎖、フン尿の清掃・消毒は民間業者の領域です。
そして補助金は着工前の申請を求める自治体が多いため、見積書を先に用意しておくと申請がスムーズになります。
調査と見積もりを無料にしている業者を選べば、金額を確かめる段階で出ていくお金はほぼありません(生息確認だけを頼む場合など、一部有料のケースはあります)。
調査・見積もりは基本無料(一部条件を除く)。相談したからといって、契約する義務はありません。
よくある質問(FAQ)
まとめ|市の制度と業者は「役割が違う」

市区町村の制度は、屋外での捕獲と、費用の一部を支える仕組みです。使えるなら使った方がいい。
一方で、再発を止める作業——追い出し・侵入口の封鎖・清掃・消毒は、市ではやってくれません。ここは業者にしかできない工事です。
だから正しい順番はこうなります。
①市に制度を確認 → ②業者の見積もりを取る → ③補助金を申請 → ④工事
電話1本の確認で、数万円変わることがあります。急いでいる時ほど、この順番を守ってください。
この記事の調べ方(編集部)
自治体制度は各市の公表情報を2026年9月3日に確認して掲載しています。
・宇都宮市 公式サイト「有害鳥獣対策のわな貸出や被害防除などの費用を補助」
・山形市「タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業」/箱根町「有害鳥獣被害対策の補助などについて」の公表内容
・捕獲の許可制度=鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)
制度・金額・窓口は年度で変わります。申請前に必ずお住まいの自治体の公式情報をご確認ください。


